大久野島 発電所跡。
大久野島には二つの顔がある。
ひとつはウサギのいる海の美しい島としての顔。
そして、もうひとつが地図から消えた島だったということ。
大久野島に1923年日本陸軍の毒ガス工場が設置された。
非人道的過ぎるという理由から、国際法上禁止された毒ガスを製造していたこの島は
その存在を秘匿する為に、1945年の終戦の時までの地図上から消された。
日本の毒ガス等の化学戦の実施に関する資料の報道が行われたのは1984年だそうだ。
終戦の時に島に大量に残された毒ガス。
毒ガス貯蔵庫跡の火炎放射器により処理されたコンクリートの黒く煤けた壁。
蔦が絡まる朽ちかけたコンクリートの姿。
少し想像力を働かせる。
その姿は、決して過ぎ去った遠い昔の記憶ではないことを、雄弁に語る。